今月の一枚
No.1 CTコロノグラフィ直腸部展開画像
図1 CTC(CTコロノグラフィ)直腸部展開画像
入院後、造影CTとCTコロノグラフィを併用して検査を行いました。
肝や周囲リンパ節への転移の有無を確認するとともに、腫瘍の位置と形態を観察します。
また、画像処理によって大腸展開像も作成しました(図1上)。
今までは、注腸検査を行い、その造影剤を利用してCT検査を行っていましたが、注腸検査で使用する濃度の高い造影剤ではノイズが出現し、シャープな画像が得られません。
そこでCTコロノグラフィを行います。
これによって、腫瘍の位置や形態が詳しく観察できるようになります。
CTコロノグラフィは、大腸内を空気で膨らまして撮影し、そのCT画像を再構成することで、仮想注腸や仮想内視鏡、大腸展開像など様々な画像から大腸を観察する検査です。
注腸や内視鏡と比較して、検査時間が短い、患者様の苦痛が少ない、再現性が高いなどのメリットがあります。
しかし、平坦な病変は描出しにくい、病変の色や表面の細かい凹凸や、リアルタイムで病変観察ができないといったデメリットもあります。
また、他の大腸検査と同様に残渣・残液が病変観察の妨げになり、偽病変として描出されることもあります。
そのため、前処置として経口造影剤を服用し、便を高濃度に標識することによって、画像処理で残便・残液を消すといった手法が広く行われています。
この検査は比較的新しい技術で、欧米ではスクリーニング検査として行われている施設が多いものの、国内ではスクリーニング検査に利用する施設が増えてきている、というのが現状です。
2011年に専用の送気装置の承認が下りたばかりで、前処置や撮影手技も完全には確立されていないので、これからさらに技術や周辺機器の発展が見込まれます。
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